早くおじさんになりたかった。

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50才を過ぎたアーティストが、向こう10年20年現役を続けるというのは、その態度を示すということは、どういうことなんだろう。53才になった奥田民生のステージを見守りながら考えた。

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2曲目で自身の代表作『イージュー★ライダー』をやって、早くも会場の滋賀県立文化産業交流会館はエンディングを迎えたみたいになった。その雰囲気を察した民生は、「残りの十数曲、アンコールが続きます」と、ふざけてるときにこそ見せる真顔で宣言した。去年出したニューアルバムから数曲、シングルカットしなかった隠れた名曲、そしてまたニューアルバム。かと思えばソロデビュー曲のカップリング。最後は「こう見えて実はこれからショーさ」「のほほんとしてはいけないショーさ」「グリーン車の意味を考える旅よ」「かばんに入れて全部もっていく」「かばんに詰めてちゃんと持っている」と締めくくった。

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最初から老成してたところがある奥田民生老いてもなお、やっぱり無理をしない。無理をしないから、嘘がない。天性の歌唱力はそのままに、全盛期よりも声が伸びている気がする。スタジオ収録時、全ての楽器を自分で演奏することによって地道に培ってきた編曲能力。最小限の編成による楽曲の再構成力は、いまや凄まじいことになっている。発売当初は何がいいのか全くわからなかった楽曲も、こうして熟成された形で聞き直してみると耳から身体に浸透するように理解できる。 年を取るということは、悪いことばかりじゃない。「がんばれ」とひとことも言わないし歌ってもいないのに、励まされた気持ちになった。

奥田民生はずっと前から、おじさんだった。僕は早くおじさんになりたかった。愛と夢を胸に置いといて、開発しながらぐんぐん進む。

*画像は『ワープする路面電車』に追加する『ミュージアム』の開発画面