そして乳になる。イントネーション気をつけて。

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締め切りの合間に『万引き家族』をひとりで観た。カンヌの影響もあり、いつもは混まない調布の映画館も超満員。すぐ隣の席で観ていたカップルの感想が、帰りのエスカレーターで聞くでもなく持ち上がってくる。

「よかったね、絶食家族」
「うん、最高」
「誰も知らないよりも明るい感じ」
「そうめん美味しそうだった」

「(絶食じゃなく万引き)(ふたりともお腹が空いてるに違いない)(それを強調するなら最後は『誰も知らない』じゃなくて『みんな食べたい』と言い間違えたほうがいい)(最後に『そして父になる』を引用しつつ『そして乳になる』とすれば空腹世界的には完璧だけど)(文字にしないと伝わらない)(イントネーション気をつけて)」

是枝作品を劇場で観るときは、映画の中の樹木希林に会いに来てるところある。母親にどこか似ている。父も妹も、うちの実家の人たちは僕のことを特別扱いしてくれる。今に始まった話ではなく、ずっとそう。本来求められるべき、冠婚葬祭などの家族行事は参加しなくていい。こっちでやっておくからと、放っておいてくれる。ありがたい。僕は僕で、こうした合間に家族のことを思い、次なるプロトタイプをイメージしている。大きな活躍は、向こう岸にもちゃんと伝わる。特別な扱いは、特別な仕事で応える。

そして乳になる。文字にしないと伝わらない。イントネーション気をつけて。