作る風と書いて作風、与える旅と書いて寄り道。

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https://www.apple.com/uk/detour/

ミシェル・ゴンドリーという人物の作風について、単に夢みたいな映像を作る人だと当時は思っていた。iPhone7で撮影されたこの短編映画とトリック集をみると、点在するアイデアをどのような順番で組み立てれば現実との面積を広く持てるか。長く退屈せずに観てもらえるか。余白につながるか。キャリアを重ねるたびに着実に設計して、夢の領土と持ち時間を拡張してきたことがわかる。

イデアは悪くない。でも、それが思った以上にスケールしない。何百億の人に観てもらいたいのに、まだ数十万人の範囲にとどまっている。そんな自分に問いたい。修辞の力を信じているか。結ぶ順番に美学はあるか。工学は足りているか。ひとつの点を成立させることに、留意し過ぎてはいないか。

「考え過ぎだよ。ペダルを漕ぐ方法なんて人それぞれさ」

10分57秒の動画を繰り返し観たら、3回目にこう言われた気持ちになった。冒頭タイトルの手書きのアニメーションにはこう書いてあった。Détour(=寄り道)、なるほど。技術を開発する側は、それが許されないところがある。使う人にまで、それを強いてはいけないな。

寄り道することによって心の距離が縮まった。ありがとうミシェル・ゴンドリー。もしもいつか会えたら、親しみを込めて「ゴンちゃん」と呼ばせてください。開口一番、引かないでください。