バットでボールをぶっ叩く気持ち良さについて

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Pokemon Goが話題ですね。これをもってVRブーム終了。ARブームに大きくシフトするなんて短絡的な文章が、インターネットで踊っていました。ぜんぜん違う話のようで、やがてつながる話。ザリガニワークス 武笠さん坂本さんとバーグハンバーグバーグ シモダさんを招いてトークイベントをしたときのこと。客席から「おもしろいゲームって、どうやって作ればいいですか?」みたいな質問が出た。武笠さんが間髪入れずにこう答えた。 

「例えば野球って、バットでボールをぶっ叩く気持ち良さがあるからこそ、おもしろいんですよね。この根本的な良さが中心になければ、野球は全くおもしろくならない」 

僕を含む登壇者は内心「(すげー)」ってなったのち、「バスケは手でボールをぶっ叩くのが気持ちいい」だとか「フェンシングは横向きで相手をぶっ刺すのが楽しい」だとか、「◯◯をぶっ△△する」という表面的な響きの気持ち良さに引っ張られたトークに終始してしまったが、この指摘は露骨にクリティカルで、イベントが終わったいまも余韻が残っている。確かに、野球をプレイするのも野球観戦もベースボールカードもエポック社の野球盤もファミスタも全部、バットでボールでぶっ叩く気持ち良さが中心にある。さすがはコレジャナイロボを作った人物の指摘である。 

Pokemon Goの元になったポケットモンスターは、「ボールにモンスターを封じ込める(ゲットする)」気持ち良さが中心にある。この気持ち良さは、かつては昆虫採集という遊びに集約されていた。現代っ子は、虫を触わることができない。モンスターだって、もし目の前に実在してもきっと触れない。触感をスキップしてモンスター同士を戦わせてボールに回収できるからこそ、それをコレクションできるからこそ、図鑑を完成させる目的があるからこそ、図鑑に載っていないモンスターを友達に見せびらかせられるからこそ、スタジアム対戦で注目を集めるからこそ、ポケモンは世界を熱狂させるまでになったのだ。「バットでボールをぶっ叩く気持ち良さ」を発見しない限り、Pokemon GOのようなゲームを作ることはできない。AR技術を使っているからといって、Googleが協力しているからといって、自動的におもしろくなるわけではないのだ。